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「 お と ひ ろ い 」

言葉をもたない少年は、耳から入ってくる不思議な音を拾って集めています。
拾った音をつなぎあわせて、不思議な歌を歌います。
誰も気に留めない音を、上手に拾い上げる感性を持っています。

狭くて居心地のいい自分だけの世界から決して踏み出そうとしなかった少年は、ある音を手に入れる為に小さな冒険に出ます。

いろんな出会いがあります。
出会っただれもが、少年をそのままの少年として受け入れてくれます。
その喜びを身にまとい、花飾りやくさかんむりを身につけて、彼は堂々と胸をはり、家に帰るのです。
久しぶりのお父さんとお母さんの笑顔。笑い声。

探していた音はこんなに近くにありました。

言葉を持たない少年も、言葉を自在にあやつるこどもたちも、かつて子どもだったおとなたちも、
いつも自分を包んでいて欲しい優しくて幸せな音です。


 

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